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アパレル・ファッション業界にも存在する多重下請け構造〜日本国内生産〜

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日本のビジネス社会は”中抜き”が一般的になっています。
IT業界では3次請け、4次請けで末端のプログラマが発給でデスマーチをしているという話を聞きます。(ほんの一部のことだと願っています。)
福島の原発作業員も東京電力からは高額のオファーだったのが、何度も中抜きされていくうちにちょっと割のいいバイト程度の給料でお金に困っている人が働いていると聞きます。

アパレル・ファッション業界でもご多分に漏れず、多重下請け構造というものが存在します。
私自身もOEM企業勤め時に孫請け仕事を多くこなしていました。

今回はそんなアパレル業における多重下請け構造について解説していきます。

下請けと孫請け

まずは用語について解説します。
アパレル・ファッション業界の場合、オンライン上のソフトウェアやアプリ開発のIT業界と違いリアルな物(洋服、雑貨)を作って販売しています。
その製造原価の割合が大きいためIT業界ほどの多重下請けにはならず、日本国内では「下請け」「孫請け」程度がほとんどです。

・下請け
下請けとは、”請負人(受注者)がある仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする契約”を指します。

・孫請け
孫請けとは、注文者から仕事を請負った受注者が、その仕事を更に別の第三者に請負わせることを指します。

振り屋というシステムも多重下請けの一つ

アパレル・ファッション業界には古くから”振り屋”という存在があります。
生産設備を持つが営業力と販売経路を持たない縫製工場と、生産設備を持たないが販売経路を持つアパレル企業をつないで営業することで中間マージンを得る存在です。これも多重下請けの一つと考えられます。
アパレル企業から振り屋が注文を請け、1枚あたり数十円〜数百円のマージンを抜いて縫製工場へ仕事を回します。

多重下請けを必要悪と考える人もいる

多重下請けはあまり良いものとは私は思いません。
1枚1000円の縫製工賃をアパレル企業が払うとしても、縫製工場へは1枚あたり800円となっている可能性があるからです。
通常下請け企業が孫請け企業に発注している単価を知ることはできないので、上記のような極端な中抜きも起こっている可能性が高いです。

しかし現在日本国内の縫製工場は少子高齢化と産業構造の変化から少人数高齢化が顕著となっており直接アパレル企業に営業するだけの人員と余力を持たないところが非常に多いです。
更に縫製工場は人件費の面や素材産地との関係から地方に存在しているのが大半で、アパレル企業担当者も頻繁に工場を見に行くことができません。
そんな中日々工場に顔を出して様子を見ることができ、都会のアパレル企業と様々な交渉をおこなってくれる存在はある意味必要な存在となってしまっています。

目に見える余分なコストは商品価格への負担

前述のように縫製工場のことを真摯に考えて誠実に仕事をしている振り屋も多く存在します。
しかしいずれにせよアパレル企業が直接縫製工場と仕事をするときよりコストは高くなる、もしくは工場の利益が減ることに変わりはありません。
最初はアパレル企業側も仕方ないと思っていても、余分なコストはいつか商品価格へ転嫁されてしまうのでしょう。

縫製工場とアパレル企業をつなぐ新たなサービスに期待

近年地方の縫製工場と、都会のアパレル企業をつなげようというサービス、動きが大きくなってきました。

次回はそんなアパレル・ファッション業界のマッチングサービスについて解説していきます。

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