原価のこと
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アパレル商品(洋服)の製造における原価とは?

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前々回記事「川上部分を強調している日本のアパレル企業について感じたこと」からの続きです。

以前ご紹介したように、近年洋服の原価率高いアピールや、中間マージンを省いた工場のことを考えたアピールをしている企業がいます。
業界で働くものとしては、「原価率なんか消費者には関係ないことやし、商品で勝負しているように見せて結局値段勝負やん!」と思っていますが、売り方のトレンドであればそれも仕方ないのかもしれません。

洋服の製造原価とは?

今回説明するのは洋服の製造原価についてです。
参考になるのは以前ご紹介したアメリカの「Everlane」の商品紹介ページの原価説明です。

生地、附属、縫製、染色、輸送と分けて原価を算出しているのが分かりますね。※この商品はジーンズです。
基本的にはこの考えで間違いありません。「Everlane」が各カテゴリーの内訳をどのように計算しているかはわかりませんが、
私の経験と知識から上記の5カテゴリーの内訳を説明します。

生地

洋服のメインを構成する生地を指します。もし生地の段階でプリントや刺繍など加工をする場合はその代金も含まれます。
日本の場合、1mあたりの値段で取引をします。
生地の規格(生地の巾と原反1反あたりの長さ)は生地毎に決まっており
通常反ごと(30〜50m程度が巻きになっている状態)で移動します。10mだけだったり必要な量が原反と合わない場合は「カット出荷」といって原反をカットした短いものでも取引することは可能です。(カット代という作業費は請求されます。)

附属

ボタンやファスナー、デニムの場合の革パッチなど洋服の生地以外の部分に使用するものを指します。
洋服を補強するための「芯地」や、ジャケットの裏側についている生地「裏地」も附属に含めることが多いです。
オリジナルの革パッチやボタンを作って使用する場合、オリジナル附属を作るための「型代」という費用が別途必要となり、通常は商品の原価に含まれます。

縫製

主に縫製工場での作業にかかる労働費を指します。洋服は縫ったばかりの状態ではシワが残っていたりきれいではないので必ず最後にアイロン等で仕上げをしますが、その費用も含まれます。
また万が一ミシンの針が残ってると大問題になるので、工場を出荷する前に必ず検針(針が残っていないかチェックすること)をします。その作業費用も含まれます。
特殊な糸を商品に使用する場合でない限り、縫い糸やステッチの糸、ミシンの針代など縫製にかかる部分は縫製工場が手配して工賃に含みます。
商品は個別に包装してお店や倉庫に届きますが、その包装の袋も一般的には縫製工場が手配します。

染色(二次加工)

例として取り上げたジーンズの場合、商品を縫った後で更に染めたり色を抜いたりといった加工が行われることが多いです。
そういった商品を塗った後に行う加工、または型紙にそって生地を切ったあとで行う加工の費用を指します。
ジーンズだとブリーチ(色を抜く)やオーバーダイ(色を更にのせる)、他は部分的に刺繍したりプリントしたりといった加工があります。

輸送

商品の輸送にかかる費用を指します。
日本で販売する商品の場合、日本製か海外製で大きく変わる項目です。
日本製の場合は縫製工場や生地屋、付属屋が商品や原材料の輸送費を払っていることが多いです。(その分は工賃や原材料の値段に含まれているのでしょう)
海外製の場合、原材料を日本から海外に送る費用、海外で生産した商品を日本に運ぶ運賃と関税がかかります。
日本国内の移動であれば運賃を請求しない生地屋や付属屋も、この場合は流石に請求を起こすことが多いです。

生地も同じ、デザインも同じ、縫っている工場も同じ。でも原価は変わることがある。

普段からお店を色々見たりインターネットで様々な通販サイトを見る方であれば、見た感じ同じ商品がぜんぜん違う値段で販売されているのを見たことがあると思います。
それは様々な条件により、仕方ないことだと考えてください。

なぜか?というと多くの要因が考えられます。下記はその一例です。

  • 同じデザインで同じ色でも違う生地を使い、縫製レベルの違う縫製工場で生産している。
  • 日本製なのか海外製なのかの違い。
  • 同じ生地で同じ縫製工場だけど、工場への発注数量が全然違うため、縫製工賃が高くなり原価が上がっている。

結局原価率が高いほうがいい商品なの?

そんなことはありません。
原価率を高く設定しているとアピールし、非常にコストパフォーマンスが良いように見せることは簡単です。

消費者には真実は分かりません。

スタートしたばかりのファッションブランドがTシャツを10枚作ってクオリティーと原価率の高さを(他社が作ったら75000円だけど5000円です!みたいな)アピールしても、現実は大手が1000枚を同じTシャツを作れば原価率は低くても消費者には同じくらいの値段か、もっと安く提供できる可能性が非常に高いからです。

そういった現実を見せずに「工場の想い」とか「透明性」といった抽象的なものばかりをアピールして販売するのが、悲しいですが 今は”売れる”のかもしれません。

大手と中小の原価の違い(発注数量が同じでも原価が違うことはある)については次回記事にてお届けしたいと思います。

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