アパレル基礎講座

アパレル小売市場規模と、繊維産業の縮小という現実

日本のアパレル・ファッション業界の衰退が止まらない。
こう言われて久しく感じてしまう。

業界の中で働く身としては「確かに過去より厳しい状況ではあるが突然死するようなことはないだろう」という感覚だ。

しかし先行きが明るくないというのは業界に従事する者誰もが感じていることだと思う。

今回はそんな業界の市場規模と繊維産業の縮小という現実についてお伝えしていきます。

数字で見る日本国内のアパレル小売市場

1990年代からの市場の縮小

国内のアパレル小売市場規模は、1990年代に約15兆円であったが、2017年には約9兆円まで縮小している。

供給量は増大している

同時期の国内生産と輸入を合わせた国内供給量は、約20億点から約40億点へと倍増した。
したがって単純に計算すれば、国内の供給単価は、この20数年の間に三分の一に下がったことになる。

単価が下がり供給量が増えることで起こる問題

総務省の家計調査によれば、20年間で各家計の衣料品購入単価は6割弱までにしか下がっていない。
このことから、市場に供給されたが消費されていないものも相当数増加しているのではないかと推測される。
そして、消費されないということは在庫として各アパレル企業の経営を圧迫する負債となっているということでもある。
洋服は季節性と時流性の要素が大きいため、一度売れ残ってしまうと値引きを繰り返すことで換金を図る他なくなってしまう。
たとえ購入までたどり着けたとしても利益のない状態で在庫だけが減ったということになりかねない。

数字で見る繊維産業

1985年からの繊維産業

1985年時点で繊維産業の事業所数は約66,000箇所、従業者数は約115万でした。
ですが2010年の繊維産業の事業所数は約16,000箇所、従業者数は約30万人まで減少しています。

日本国内生産の減少

衣料品の国内供給に占める国内生産比率は急激な減少を続け、2015年には3.0%となっている。

なぜ国内産業が縮小して供給量が増えるのか?

これは簡単に回答することができる。

「人件費の安い諸外国生産へ生産地をシフトしたから」だ。
大量生産を行うにあたって日本より人件費の安い中国への生産地転換を大手アパレルメーカーを中心に続けた結果、日本で企画したものを中国で生産という流れが繊維産業の基本的なものづくりの形となってしまった。

海外生産のコストも上がっている

中国等海外の生産地では繊維産業の労働力不足や人件費の上昇が顕在化し、2009年以降、日本の衣料品輸入単価は大きな上昇を続けている。
この状況下のため、日本国内への生産地回帰が期待されており実際2016年頃には日本の縫製工場に注文が殺到した。
しかし中国の休日と労働問題による一時的な現象でしかなく、2018年現在状況は良くなっていない。

まとめ

冒頭書いたとおり、日本のアパレル市場の先行きは明るくない。

しかし、産業復活を図れる最後の転換期でもあると思う。

かつての大量生産、大量消費の社会は終わったという現実を認識し、需要と供給のバランスを考えたり海外での販売に打って出るなどビジネスモデル自体を変えていくことができれば業界の衰退は止められるのではないかと考えています。