アパレルビジネス

アパレルODM生産についてまとめる。機能、OEM生産との違いなど。※18/12/12追記

今回はアパレル・ファッション業界におけるODM企業、ODM生産についての解説です。
OEMと対比して語られることの多いODMについて理解しておけば、アパレル・ファッション業界のものづくりの現実について理解を深めることができます。

ODM企業、ODM生産とは

「ODM」の意味

ODMとは、Original Design Manufacturingの略語です。
アパレル・ファッション業界の場合、発注元のアパレル企業の商品企画から生産までを一貫して行うことをいいます。
現代日本のアパレル産業において、ブランドを持つアパレル企業に変わって商品企画を行うODM生産企業が多数存在して業界を支えているという現実があります。

OEM生産、商品買い付けとの違い

先日の記事で紹介したOEM生産との違いは商品企画を誰が行うかという点です。
OEMの場合は発注元のアパレル企業のデザイナーが商品企画をして、あくまで生産のみを請け負う形でした。

アパレルOEM企業という名の下請け業者を理解する。※18/12/11リライトしました。【2018年12月11日リライトしました】 「弊社は有名ブランドのOEM生産をしているので、色んなブランドの商品づくりに関われます...

また、とある企業や縫製工場が自ら企画と生産を行って在庫を持っている商品を、アパレル企業が買って自らのブランドタグに付け替えて販売することもあります。
私が2011年当時勤めていたとある企業では、中国の広州にある製品市場に客先であるアパレル企業のバイヤーを案内してその場で商品を買い付けていました。
そういった商品買い付けとODM生産の違いは、発注元のアパレル企業に合わせた商品企画をしたものを生産するという点です。

ODM企業が生まれた背景

生産地とアパレル企業の結びつきが弱くなった ※18/12/12追記

過去の国内生産全盛期には、日本のデザイナーズブランドはもとより各大手アパレル企業は生産地(生地、縫製)と強い結びつきがありました。
企画・デザイナーは素材のヒントを得るために生地の生産地によく足を運び、自らが希望する生地について生産者と直接話して新たな企画を生み出してきました。
生産管理も縫製工場を頻繁に訪れ、ものづくりに対する現場のノウハウや意見を自らの仕事に取り入れてより良いものづくりができる環境を作っていきました。

しかしながら現在は短サイクル生産や海外生産が増えたことで、アパレル企業の担当者が直接生産地を訪れることがほとんどできなくなってしまいました。
出張には時間を要するため、その間オフィスでできなかった仕事が後から積み重なり大きな負担となってしまいます。
また後述する人件費抑制同様、出張経費に対する許可が降りにくくなっているという現状もあります。

アパレル企業ができなくなった生産地とのつながりを埋める役割として、ODM企業が発生しニーズを獲得してきました。

アパレル企業の人件費削減

例えばAというブランドを持つアパレル企業があったとして、人員削減によりデザイナーの人数を半分に減らしたとします。
その場合、店舗数や必要な商品量は変わらないため、今までどおりに商品を作るために残ったデザイナーがは2倍企画を出さなければならなくなってしまいます。
そんなことは不可能だとおわかりいただけると思います。

自社内では企画力に限界がある中、これまで生産のみを発注していた企業が自社に合わせた商品企画をサンプルと一緒に提案して生産まで一貫して行ってくれる。
アパレル企業のブランドMDとしては非常に助かる存在です。

売れ筋商品、市場を知るのに活用できる

ODM企業は、複数のアパレル企業に企画提案を行い商品を納めているので、様々なブランドで売れた(追加された)商品の情報を持っています。
また、企画提案に強みを持っているのでマーケット・リサーチを多くおこない最新の市場情報も持っています。
市場は自ら店頭を回ることでも得られますが、多くのアパレルから求められている実際の商品についての情報を得るにはODM企業から話を聞くことが一番近道です。

文献として残っているアパレル産業でのODM発祥エピソードは存在しないのですが、おそらく上記のような流れからODMと言う存在が一般化していったのではないかと考えられます。

企画力のあるODM企業は引く手数多な状況

現在日本のアパレル・ファッション業界で、自社が消費者への直接販売チャネルも商品の生産設備を持たない企業の大半がOEM生産ではなくODM生産に移行しています。
社員が社長一人の個人事業主レベルを含めると非常に多くの企業数になりますが、当然ながら仕事が集中する企業とそうでない企業に分かれます。
その分岐点の一つに商品企画力があります。
アパレル企業のほとんどが何が売れるのかわからない、消費者の家計における衣類の比重も減っている状況では売れる企画を持っているODM企業に頼りたくなるのは当然だと思います。
洋服の場合、流行になると後追いで同じような商品が市場にすぐに溢れますし、品質をあまり考えなければすぐに生産することも可能です。
なのになぜ企画力があるODM企業に仕事が集中するのかというと、次も他社に先んじて売れる商品を市場に出せるかもしれないという期待があるからです。

まとめ

現代日本のアパレル・ファッション業界、アパレル産業に付いて考える上で欠かせない存在であるOEM生産/ODM生産、とくにODM生産について知っておくことでより深く業界について知ることができるので、今後もOEM生産/ODM生産の原価構造等、情報をお届けしたいと思います。