アパレルビジネス

営業が、受注〜納品でコケないためにやること6選

前回記事ではサンプル依頼から量産受注までの有効な手法と考え方について解説しました。

今回は、元請けのアパレル企業から量産の受注を受けてから商品の納品までをスムーズに行う手法について、OEM営業職の視点から解説していきます。

新規で営業活動を行い、量産商品の受注を初めてもらった時は非常に嬉しい気持ちになると思います。
油断すると納品までも、納品後も思っていない苦労を味わうことが無いよう注意が必要です。

受注したらまず、取引条件について再確認

新規取引先からはじめての発注書を受け取ったら、まず最初に相手の企業との取引条件を再度確認しましょう。
必ず確認が必要なのは下記の3点です。

1.支払いサイト

Webサイトのことではありません。商品を納めてから代金が支払われるまでの期間のことを支払いサイトと呼びます。
一般的な日本の商慣習として、商品を納めるたびにすぐ代金を支払うのではなく、「締め支払い」という仕組みが一般的です。
締め日を設定し(月に1日だけ)、その締め日から一定期間後に支払うという仕組みです。クレジットカードの支払いのような感覚で大丈夫です。
特にルールがあるわけではなく各企業が締め日支払日を独自に設定していますが、締め日に多いのは「15日締め」「25日締め」「末日締め」、支払日は「翌月末日」が多いです。
大きな企業との取引の場合は、支払いサイトが「末日締め120日(4ヶ月後末日)」という条件を課してくる場合もあるので資金繰りの体力のない企業は注意が必要です。

2.歩引きの有無

アパレル・ファッション業界では、現在も一部企業で「歩引き」という商慣習を採用している企業が残っています。
これは支払い金額から自動的に2%程度を引いて支払うという仕組みです。
「歩引き」については後日追記か別記事で取り上げたいと思います。

3.振込手数料の差し引きについて

大きな金額でははないのですが、代金支払い時に銀行振込を使用することによる振込手数料をどちらが負担するのかという取り決めです。
OEM営業担当者は、正確に把握して自社の経理担当に伝えておかないと、代金振込み時に確認で余計な時間を使うことになります。

発注書・見積書に漏れ・間違いはないか

次に受発注に係る書類の確認です。
アパレル企業から受け取る発注書、自社が事前に提出している見積書の内容を確認します。
最低限確認することは下記のとおりです。
<発注書で確認すること>
・納期に間違いはないか
・発注金額に間違いはないか
・発注数量が生産ロットを満たしているか
・納品先住所が記載されているか
・納品形態が記載されているか

<見積書で確認すること>
・納品可能予定日に間違いはないか
・製品単価(工賃)に間違いはないか
・生産ロットを記載しているか
・見積書有効期限を記載しているか

商品の納品形態によってコストも変わる

前項で発注書に納品形態が記載されているか確認が必要だと書きました。
商品の納品形態によって商品がよく見えるようになるか悪く見えてしまうのかが決まってしまいます。

例えばハンガーにかけていると縦に伸びるとわかっているニットを、あえてハンガー仕上げで釣った状態で納品をしたら商品がだめになってしまいます。
また、仕上げをしっかりしてシワひとつ残っていないパーティー用ワンピースを小さな透明な袋に畳んで詰め込んだら、家に帰った時にはしわだらけで販売できなくなってしまいます。

そして納品形態は商品の原価に当然影響が出ます。
例えば皺になりやすい素材で作るワンピースを簡単に仕上げして畳んで袋に入れるだけであっても100円〜150円/枚程度の費用はかかります。
それをハンガー仕上げに変更すると、布帛のワンピースであれば300円程度/着の費用が必要になります。

商品にあった納品形態を指定することで洋服の原価を下げることが可能です。

生産スケジュールは生産管理に任せる

社内に生産管理職がいる場合、生産スケジュールは全て任せましょう。
もちろん途中段階で遅れがないか確認する程度のことはしてください。

問題は内容によって納品先に報告するか決める

洋服を生産していると問題が発生することが多々あります。

生地が届かない。
原材料の発注を間違えてしまった。
工場が裁断を間違えた。
要尺の計算を間違えていて原価が上がってしまう。

問題の種類は様々ですが、納品先であるアパレル企業に報告するかどうかの基準は明確です。

納期に影響があるか。
指定された商品が納品ができるか。

この2点だけです。
原価が上がる場合は、責任所在が納品先企業にある場合は速やかに報告して納品単価を変更しましょう。
若干の原価の上昇は黙ってそのまま取り決めの単価で納品してもいいと思います。

納品前見本(納前)の提出はとにかく早く

商品の納品前には、必ず納品前見本を納品先企業の担当者に提出します。
基本は各色1枚ずつですが、企業によっては各色3枚であったり、どれか1色だけでOKという場合もあります。
こちらも事前に確認しておきましょう。

この納品前見本の提出ですが、とにかく早く提出しましょう。
なにか重大な問題が隠れていた場合、納期直前に提出してからでは納期までに修正が間に合わず納期遅れを引き起こす要因となってしまいます。

僕がOEM企業勤め時に海外生産商品の納品前見本提出基準としていたのは、現地出荷の1週間前に提出というスケジュールです。
海外の第三者検品所を通す必要がある場合は、検品所に入れる1週間前を基準としていました。

なぜここまで余裕を持たせるかというと、海外からの出荷日の変更や検品所の段取りを変更しやすくするためです。
そして納期遅れをしないためです。

一週間あれば大体の問題は解決できます。

初回受注は絶対に納期遅れを起こすな

自社店舗を持つアパレル企業担当者は、本当に納期を重要視しています。
納期を厳守してくれるOEM企業に優先して仕事を依頼したいと思っていますし、納期遅れをしない仕入先に対しては若干の問題に関しても許容します。

これは納期を厳守できるOEM企業が多くないという現実の裏返しです。

僕は現在アパレルSPA企業でOEM企業に商品を発注する立場にありますが、納期遅れを起こす企業が本当に多いと感じています。
納得できる理由であれば理解を示すことはできるのですが、ただの段取りの悪さであったり工場とのコミュニケーション不足によるものであったりと残念な原因がほとんどです。

僕自身もどの企業に発注するかの選定において納期を最重要視しています。
そしてはじめての発注で納期遅れを起こした企業には次の発注を基本的にしません。

最後に

OEM営業職の視点で新規営業から初回納品までを解説してきました。

発注側と受注側両方の立場を経験したからこそ分かるのですが、相手の視点で考えて行動できるOEM営業の人は本当に少ないし、それができればよっぽど商品に魅力がない場合を除いて初回の商談やサンプルの作成まではすんなり進めるはずです。

ささやかでも、この記事を読んでくれた方の仕事の助けになればいいなと思います。

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